雪解けの、つめたいやさしさ
君は僕がとけゆくことに何も出来ないって罪悪感を感じてる?
軒先の、もう崩れかかった雪だるまの目の前で
膨れっ面の女の子がお母さんと言い合ってたりして
僕はやれやれと心の中でため息をついた。
僕を冷凍庫に入れたら、
君は満足して僕のことなんて忘れてしまうくせに
…残酷だね。
そうこうするうちに話はまとまったようで、
先程の女の子が駆け寄る。
目に涙をためて、顔一杯に喜びを溢れさせて。
崩れかけた体を固める為に小さな手が僕に触れるたび
その体温で自分の体がとけていくのを感じる
温かくて優しい体温。
だけど………。
やがてその感覚はなくなり、
少女の手が冷たくかじかんできたのが分かった。
きっと僕と同じように痛みを感じているんだろう。
それでも微笑む君が悲しくて…。
本当は、凍える君の手を暖めてあげられたら
どんなに良かっただろうね。
でもそれは叶わないから
せめて春の日差しに温められた大気になって
君を包んであげたかった。
罪悪感に苛まれているのは僕の方。
君がとても無邪気で残酷だから…。
fin.