君を探しに街に出るんだ


飛行機が雲を引いて飛んでいく音が、聞こえる。



君とサヨナラした駅で、僕はずっと待っていたんだ。

もしかしたら、「ごめん、うそだよ」って

君が帰ってくるんじゃないかと思ってさ。



君を待つのはつらくなかった。

ここは小さな田舎町で、何もないけど

空も空気もとても澄んでいて

君との思い出が透き通っていくのを

僕はいつでも感じられた。



僕は、この町と、この景色と、そこにいる君が好きだった。

君も、ずっとそうだと思ってた。



だけど、今日は違うんだ。

君を探しに街に出るんだ。



君の帰りを期待して

街へ向かう列車を何本見送ったか分からない。



空が夕焼けに染まってしまう前に

僕は君に会いに行くんだ。


fin.



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