追憶


木々のざわめきが頬に降りかかる時、

君のことを思い出す。



瞳の奥に揺れる星の残影を。

初春の陽だまりのような温もりを。

夏の川面のように光を返す甘い髪を。

微笑みながら口ずさんだ優しい旋律を。

君の無邪気さに懺悔する僕の憂鬱を。

誰かに似たその面影を。

春の雨のように降りかかる、温かい涙を。


fin.



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