黒の熱砂
見渡す限りの、黒。
私はあの蒼い惑星に帰って着た筈だった。
永劫ともいえる旅に終わりを告げて・・・・・・。
私は世界を知りたかった。
宇宙の果てを。
命の根源を。
その為なら、どんな犠牲もいとわないと思っていた。
地球に終わりが来るのなら、其処からですら何か見出せると考える
私はそういう人間だった。
「生き残ることが出来た事を感謝するべきではないか。」
私は小さく頷いた。
だが、あの無限とも感じられた時間の中、
故郷という存在がどこかで心の支えになっていたことも否めなかった。
ふと見上げると、立ち込める黒い雲から灰色がかった雪が降り始めていた。
熱を帯びた黒い大地はそれらをひとつひとつ確実に溶かしてゆく。
この黒い砂を調べれば、この惑星の最期の声を聞く事が出来るだろう。
・・・・・・だが、私の最期を見届ける者は
もう誰一人として存在しないのだ。
fin.