偽善の女神
可哀想な君。どうか許して。
僕はもう君のために罪を犯そうとは思わない。
気付かなかったんだ。
君が僕の弱さを癒しとしていたこと。
僕を叱り、励ましはしても、僕が強くなることを
本当には望んでいなかったということ。
だけど、君は気付いてるかい?
多くの者はそんな君の優しさを本物だと
願ってやまないことを。
そしてまた多くの者は、
君の瞳の奥に罪が眠っていることを
願ってやまないことを。
ある者は、世界の美しさを信じていけるように。
そしてある者は、世界の美しさに胸を痛めずにすむように。
僕はただ祈ろう。君の幸せを。
fin.