谷底の蝶々


切り取られた小さな空と、眼下に広がる谷底の風景

それが、私が知っている世界の全て。



でもね

あの紙切れみたいな空に向かって飛べば

いつか新しい世界が開けるって信じてるんだよ。



力尽きて地の底へ墜落したって

何度だって飛び立てばいい。



羽ばたきながら自分の足元の遥か遠くに広がる世界を

「ちっぽけだ」なんて見下してみても、

本当は自分がスタート地点にすら立っていないこと、知ってるから。



小さな天井から降り注ぎ、反射を繰り返して届く

そのわずかな光が今日も道を照らしてくれる。



だから、羽ばたこう。

その光を感じられる限り…


fin.



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